(労働問題)2800万円もの残業代を請求された個人事業主が解決金500万円で事件を解決させた事例
依頼者
40代男性、個人事業主として飲食店を経営
依頼の経緯
依頼者は、東京都内で飲食店を経営していたところ、退職した元従業員から残業代や付加金、遅延損害金として合計約2,800万円の支払を求める労働審判の申立てをされた。
弁護士の対応
労働審判は初動が非常に重要となるため、直ちに裁判所から依頼者のもとに届いた元従業員側の主張書面・証拠を検討するとともに、こちらに有利になる証拠の収集・検討を行い、第1回目の労働審判期日までに反論書面を作成した。
当事者双方の主張の差は大きく、事件は労働審判から訴訟に移行しそうな見込みであったが、訴訟に移行すると遅延損害金の増幅により、さらに請求される金額が増えることが予想された。
弁護士は、労働審判期日において、過去の裁判例や実務に照らした有効な反論を行うとともに、労働審判期日外において、依頼者の経営する飲食店の資金繰りが厳しいこと、仮に訴訟に移行して判決が出されたとしても業績の悪化により元従業員に対する金銭の支払いが著しく困難になることを等の説明をし、元従業員側を説得した。
弁護士は、労働審判の期日の対応をすることと平行して、万が一、残業代等の請求により経営が破綻してしまった場合を想定し、法的な事業再生の手続の検討・準備も行っていった。
2回目の労働審判期日まで、元従業員側は、依頼者から支払う残業代の減額に一切応じてこなかったが、2回目と3回目の労働審判期日の間に、依頼者が本気で法的な事業再生の準備をしていることを知り元従業員は、3回目の労働審判期日において、金額面で大幅に譲歩した解決案を提案してきた。
弁護士は、さらに労働審判委員会(裁判官)にも、依頼者の経営する飲食店の窮状を伝え、元従業員に対する支払いを分割にできないか等の交渉を行った。
結果
最終的に、請求金額から大幅減の500万円の解決金を分割して支払う内容で和解が成立し、事件が解決することができた。
解決金を分割とすることで問題なく事業を継続することができ、この経営難を乗り越えることができた。
弁護士のコメント
労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終結させる制度です。
労働者側は、十分な準備期間を経てから申し立てができる一方で、労働者側から労働審判を申し立てられた使用者は、限られた時間の中で必要な証拠を収集し、有効な反論を行わなければなりません。
労働審判の申立てがされてから法律面の調査を行うようなペースですと、使用者側にとって有効な主張・立証を行う機会を失うことにもなりかねません。
使用者側の労働審判事件においては、労働法に精通した弁護士に相談することをお勧めします。 また、本件のように、労働審判期日における残業代請求が認められるか否かといった法律面の主張・立証だけではなく、経営的側面からアプローチして相手方を説得するような方法が有効なことがあります。
法律面だけにこだわることなく、解決の形を柔軟に考えることが重要だと考えさせられるケースでした。
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