債権回収

 売掛金・貸金・工事代金などを支払ってもらえないというトラブルは日常的に発生します。今後も長く付き合いたい取引先であったり、個人的な親交がある相手であったりすると、催促するのも気が引けてしまい、そのために手遅れになってしまうという場合もあります。
 一方、強く催促したとしても支払に応じてもらえなかったり、話合いにすら応じてもらえなかったりなど、回収が難しいケースも多く存在します。

滞納されたときの対応

1 原因を分析する

 債務者が支払わない原因としては次のようなパターンが考えられます。

  1. (1) 単純に債務者に支払能力が欠如している場合(無い袖は振れない)
  2. (2) 悪意のある債務者で、意図的に支払がなされていない場合
  3. (3) 債務者が、債権者側の対応に不満を持っている場合

2 請求する意思をはっきりと伝える

 債務者は、うるさく催促してくる債権者に対しては優先して支払うものです。
 また、長期間放置すると、債権が時効消滅してしまうこともあります。滞納された場合は、早急に支払の催促をする必要があります。

3 念書を書いてもらう

 場合によっては、「いつまでに支払います」という支払時期の念書などを書いてもらうことも有益です。

4 分割払いに応じてあげる

 相手の資金繰りが悪化している場合に、全額の一括払いに固執するよりも、分割で払ってもらうというのも一つの方法です。1円も回収できないまま破産されても困りますし、分割払いは債権の消滅時効を中断するという効果もあるからです。

5 担保・連帯保証を求める

 支払時期の延期や分割払いに応じてあげる代わりに、交換条件として、担保(不動産に対する抵当権や、債務者が持っている債権に質権を設定する)や連帯保証人をつけてもらい、支払の確実性を高めておくのも有益です。自分の財産を失う羽目になると思えば債務者もプレッシャーに感じるでしょう。
 また、万が一、債務者が破産することになった場合に、担保があれば優先的な弁済を受けることができますし、連帯保証人がいれば、債務者の代わりに連帯保証人に対して請求することができます。

6 (場合によっては交渉に先立ち)財産調査・情報収集をする

 債務者に強制執行の対象となるような財産があるかを調査します。
 また、債務者の他の取引状況に関する情報収集も有用です。ちょっとした噂話程度でも有益な場合もあります。
 そして、こういった調査・情報収集活動は、交渉を続けると同時に、場合によっては交渉を持ちかけるよりも前に行います。

7 訴訟提起前に仮差押えなどの保全処分をとる

 訴訟を提起しても、結果が出るまでに時間がかかり、その間に債務者の財産が散逸してしまったり、他の債権者に先を越されてしまったりすることもあります。
 そういったおそれのある場合は、不動産や預貯金、債務者の別の取引相手に対する債権を差し押さえるという保全処分をとっておくことが肝要です。
 保全処分をとることで、債務者に対するプレッシャーとなり、債務者が任意の支払をして、結果として訴訟をせずに済む、という効果をもたらすこともあります。

滞納されないようにするために

1 契約書・貸付証書をきちんと作成する

 個人間の取引や、企業同士の取引であっても長年の信頼関係がある場合に、契約書等を作成していないことがよくあります。
 しかし、訴訟で勝つためには、支払を請求する側(債権者)が、債権の存在を証明しないといけません。
 また、債務者の側からしても、契約書があることで言い逃れできなくなりますし、契約書を持っている債権者への支払いを優先する傾向にもあります。
 このように契約書を交わしておくと、結果として訴訟を回避することにもつながるわけです。「信頼関係があるから契約書を作成しない」のではなく、「長く信頼関係を続けるために契約書を作成する」という視点も大切です。
 言葉を尽くして求めても、相手が契約書に署名することを拒否するなら、場合によっては取引自体を見直す必要もあるでしょう。

2 担保・連帯保証人をつけてもらう

 先ほども述べたように、担保・連帯保証人をつけておけば、回収の確実性が増します。債務者としても、不動産をとられたり、連帯保証人に迷惑をかけたりしたくないという心理が働きます。

弁護士への依頼

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 上記のように、場合によっては、債務者や他の債権者に知られないうちに保全処分などの措置をとることが必要な場合もあります。下手に交渉をもちかけて、債務者が財産を散逸させてしまうという場合もあります。

 ぜひ、早めに弁護士にご相談ください。

 

 


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