遺留分に関する裁判所での手続き(調停・訴訟・裁判)

 自己の遺留分が遺贈、贈与、相続分の指定等で侵害された場合、遺留分権利者は、遺贈・贈与等を受けた者に対して、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払い(*令和元年7月1日以前に被相続人が亡くなった場合、遺留分侵害の限度で贈与・遺贈等された物件の返還)を請求することができます。

 遺留分侵害額の請求について、当事者同士の話し合いで解決ができない場合、裁判所における紛争解決手続きを利用することになります。

 遺留分に関する裁判所での手続きには、調停と訴訟があります。

遺留分侵害額の請求調停

 遺留分侵害額の請求についての裁判所における手続きには、(1)調停、(2)訴訟の2つがありますが、遺留分侵害の事件については、原則として、まず、家庭裁判所における調停から始める必要があります。これは、家族間・親族間の争いは、できる限り話し合いによる解決が望ましいとの考え方に基づくものです(調停前置主義)。このため、調停をせずに、いきなり遺留分侵害額の請求について訴訟を起こした場合には、原則として調停に回送されてしまいます。

 遺留分侵害額の請求調停は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申立てを行う必要があります。

 調停においては、1名の裁判官と2名の調停委員が調停委員会を構成し、当事者双方から事情を聞いたり、必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握したうえで、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をしたりして、話を進めていきます。このような話し合いの期日を何度か繰り返し、合意に達するとその合意内容を記載した調停調書を作成し、調停成立となります。この調停調書は、確定判決と同じ効力があるため、合意内容を相手方が履行しない場合には、当該調停調書に基づいて強制執行を行うことができます。

 調停で合意が成立する見込みがない場合には、調停は不成立となり、あとは訴訟によることになります。

遺留分侵害額の請求訴訟

 遺留分額の請求を訴える裁判所は、次の通りです。

  • ・相手方の住所地
  • ・被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所
  • ・不動産に関する訴えについては不動産の所在地
  • ・金銭債権については義務履行地
  • ・当事者が合意で定める裁判所(請求する金額が140万円を超える場合には地方裁判所に、140万円以下なら簡易裁判所)

 訴訟においては、当事者双方が主張を行い、当該主張を裏付ける証拠を提出し合って審理を進めていき、双方の主張・立証が出揃ったところで裁判所が判決を下します。なお、訴訟においても裁判所を仲裁役とする話し合いの場(和解期日)が設けられることが通常であり、当事者が合意すれば和解調書が作成され、訴訟は終結します。

 相手方が判決や和解調書に定められた義務を履行しない場合、判決書や和解調書に基づき強制執行を行うことができます。


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