離婚と財産分与

平成24年11月15日号掲載
令和3年11月18日追記

Q
 夫と離婚したいのですが、財産分与としてどのくらいもらえるのでしょうか。
 
A
 離婚の際の財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚に際して精算することです。

 婚姻期間中に築いた財産であれば、どちらの名義であろうと分与の対象になります。例えば、妻が専業主婦で預貯金はすべて夫名義だった場合でも、夫名義の預貯金は財産分与の対象となります。また、確定拠出年金や個人年金など解約返戻金が出るタイプの私的年金や保険も、財産分与の対象となります。 

 逆に、妻が離婚前に慌てて夫名義の預貯金を自分名義の預貯金口座に移したとしても、財産分与の対象から外すことはできません。 

 分割の割合は2分の1とされることが多いです。いつの時点の財産を分与するかという財産分与の基準時は別居時とされることが多いです。 

 結婚前に夫婦が各自貯めた財産や、それぞれの親から相続した財産などは、各自の固有の財産ですので、分与の対象にはなりません。

 基本的に財産分与は、夫婦の婚姻期間中に増加した夫婦の共有財産を分ける制度ですので、婚姻後すぐに離婚するようないわゆるスピード離婚では、財産分与はあまり期待できません。 

 以上のことは、裁判になった場合の分割のルールです。裁判ではなく話合いで離婚する場合は、交渉次第で2分の1より多くもらうことも可能です。

財産分与の争い方

(1)離婚と一体として争う

 財産分与に関する争いは、離婚事件に附帯して離婚自体と一体として協議・審理されるのが通常です。

 当事者同士の話し合いがまとまらない場合、離婚調停の中で財産分与についても話し合いを行い、調停でも解決できない場合には、離婚訴訟で争われることになります。

 離婚訴訟の判決に不服がある場合、控訴・上告により上級裁判所で争うことができます。

(2)離婚成立後に財産分与だけ争う

 また、まずは離婚だけ成立させて、その後に財産分与の問題を解決することも可能です。

 この場合、離婚後に当事者同士で話し合いを行い、話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に財産分与調停・審判の申立を行うことになります(なお,離婚成立後に財産分与の調停・審判の申立を行う場合、離婚後2年以内に行う必要があるので注意してください。)。

 財産分与調停が不成立となり、または最初から財産分与審判の申立が行われた場合、裁判所が財産分与について審判を下します。 財産分与の審判に不服がある場合、即時抗告・許可抗告により上級裁判所で争うことになります。

離婚の財産分与については、当弁護士事務所の離婚専門サイト「離婚の財産分与」をご覧ください。

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