貸したお金を返してもらうには


投稿:平成17年5月 改訂:平成28年10月

 弁護士の多くは、市役所、区役所等で行われる市民向けの無料法律相談を定期的に担当しています。相談は、1回につき1コマ30分で合計6コマを担当するパターンが多いです。

 この相談で毎回といっていいほどあるのが、女性の離婚相談ですが、毎回というわけではないものの、次いで多いのが、「知人に貸した金を返してもらえない」「貸したお金を返してもらう方法を教えてほしい」という貸金(かしきん)の相談です。

貸した経緯

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 貸してしまった経緯を聞くと、だいたい「『絶対に迷惑をかけないから』と頼み込まれて断り切れなくて…」というものが多く、貸した金額も、数十万円が多く、中には数百万円、数千万円という方もいます。
 借りた側にお金がありそうなのに、返してもらえないという相談であれば、弁護士としては、相手の言い分を覆すための法的根拠、手段を多角的に検討することになります。

 しかし、多くの相談は、借りた側から「お金がないので返せない」と言われているというものです。「あと少ししたらお金が用意できるから、ちょっと待ってほしい」「今月末には絶対払うから」といった言い訳を何度も重ねられ、結局1年近く返済がないといったケースがざらにあります。

スタンダードな回答

 貸金の相談に対する多くの弁護士の回答は、「内容証明郵便を出したり、裁判所に調停、支払督促、訴訟を起こすといった方法もありますが、相手に資力がないのであれば返してもらえる可能性は低いです。」といったものになると思います。

 実際、弁護士が一般の人向けに書いた法律実用書にはこのように書いてあり、 私自身も、とりあえずはこのような回答をします。
 また、弁護士に回収を依頼すれば、当然弁護士費用がかかりますが、それに見合った結果を出せる保証はなく、費用倒れに終わる危険性があることも伝えます。

 しかし、私はそのような一通りの説明をした後で、次のことを加えるようにしています。

プラスαな回答

金貸しのプロの回収方法

 たしかに、あなた(相談者)の場合、裁判といった手段で返してもらうのは難しいと思います。
 しかし、お金を貸すプロである消費者金融は、お金がなくて困っている人にどんどん貸してもお金を返してもらっていますよね。また、利息もきちんと取って、社長は長者番付の上位に毎年乗るような莫大な利益を上げています(注・記事執筆当時)。
 消費者金融の従業員は、支払いが1日でも遅れたら、直ちにしつこく電話をかけたり訪問したりして厳しい催促をします。少し待ってほしいという言い訳は一切聞き入れてくれません。それどころか「どうして支払いできないんですか!」、「ちゃんと約束したでしょう!」、「絶対に今日中に払ってもらいます!」といった厳しい口調でまくし立ててきます。
 消費者金融の従業員は、ヤクザやヤミ金融とは違い、決して『払わなかったら殺す』という刑法上の脅迫・恐喝にあたるようなことは露骨に言いません。それでも厳しく催促してきます。
 そのような催促をされると、された側はたちまち精神的に参ってしまいます。

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 ですから、取立ての厳しいところに対しては、うるさくて仕方がないので、他の消費者金融からお金を借りてでも、無理に支払ってしまうわけです。そうして、他から借りてすぐに返済に回すという『自転車操業』状態になってしまい、借金が雪ダルマ式にふくらんでしまうのです。

 あなたはそういった(厳しくしつこい)催促をしていますか?ときどき思い出したように『いつ返してくれますか』と聞いてみるだけではないですか?
 お金を返せない人は、だいたい貸金業者や個人から借りまくっています。そういう人の気持ちになって考えてみましょう。

支払いの優先順位を上げさせる

 今ある少ないお金をどこに払ったらいいかとなると、まずは『保証人が付いていて保証人に迷惑をかけられないところ』『催促が厳しいところ』になるわけです。
 そうすると、あなたのように、保証人が付いているわけでもなく、厳しい催促もしてこないところに対しては、申し訳ないと思いながらも、『支払いの優先順位』としては後回しになっているはずです。
 あなたが本気でお金を返してもらいたければ、『支払いの優先順位』を上げさせるしかありません。そのためには、消費者金融がやっているように、厳しく催促をするというのが、実はこのケースでは一番有効な方法かもしれません。
 もちろん脅迫・恐喝にあたるようなことを言ってはいけないのは当然ですが、そうでない限りはある程度厳しく言うことも必要です。

諦めも肝心

 厳しく何度も催促するということは、消費者金融の従業員であれば、仕事なので当たり前ですが、あなたのような一般人にとっては、仕事などを犠牲にして時間的・精神的エネルギーを使わなければならず、大変なことです。
 しかし、『絶対迷惑をかけない』という言葉を安易に信用して、保証人・抵当といった担保を取らずにお金を貸してしまった以上、返してもらえないというリスクを負うことは仕方がないことだと考えなければいけません。

相談者の反応

 弁護士としては、債権回収の依頼を受けたとしても、こういう泥臭いやり方はせず、あくまでも内容証明、裁判といったスタンダードな方法しか取れないものです。私が実際に依頼を受ける場合でも例外ではありません。
 そして、こういう説明を市役所等ですると、多くの方、自分にはそこまで泥臭い方法はやれないと悟られるようで、回収ができないことについて心から納得して相談を終えられる傾向にあります。
 他方で、法的手段をとれば間違いなくお金が返ってくると考えていた方の中には、「消費者金融のような泥臭い方法による回収といったことは考えたこともなかった。自分もぜひやってみたい」と思われる方もいらっしゃいます。そういう方は、「目からウロコが落ちた」という感じで、相談を終えられます。
 市役所、区役所の相談で「内容証明・法的手段・見通しは暗い」という回答だけで終われば、あまり時間はかかりません。しかし、上述のことをいろいろ説明すると、30分はあっという間に経ってしまいます。sukkiri

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