発信者情報開示関係ガイドラインとは

発信者情報開示関係ガイドラインの目的

 SNSなどのネットサービスに書き込みをされて、名誉やプライバシーを侵害されたときに、「発信者情報開示請求」によって、発信者情報を開示してもらえる可能性があります。

 インターネット上の書き込みをコンテンツプロバイダが削除したり、発信者情報を開示したりすることは、書き込みされた者(名誉毀損やプライバシー侵害をされた者)の権利救済上有効なことはもちろんです。

 一方において、書き込みをした者(発信者)の言論の自由や通信の秘密を侵害するという側面があります。 つまり、コンテンツプロバイダは、書き込みを削除しなければ書き込みされた者の権利を侵害し、削除すれば書き込みした者の権利を侵害してしまい、どちらに対して損害賠償責任を負うおそれがあるという板挟みの難しい状態に置かれているのです。

 コンテンツプロバイダは、「プロバイダ責任制限法」により、ある情報が名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合には、これを削除したり発信者情報を開示したりしても、発信者に対する損害賠償責任は制限されることになります。

 しかし、SNSなどに書き込まれた情報が名誉毀損やプライバシー侵害に該当するかどうかや、これによりコンテンツプロバイダの損害賠償責任が制限されるかどうかどうかは、最終的には裁判所が事後的に判断することになります。

 これではコンテンツプロバイダは、名誉毀損やプライバシー侵害をされた者からの削除請求や発信者情報開示請求に応ずるべきかどうかの判断を迅速に行うことができません。

 そこで、このようなプロバイダの板挟み・ジレンマを踏まえ、名誉毀損やプライバシー侵害をされたと主張する者(申立者)から削除や発信者情報開示を求められた場合に、コンテンツプロバイダが自主的・自律的に対応できるように、判断基準や取るべき行動基準を定められたものが「発信者情報開示関係ガイドライン」です。

発信者情報開示関係ガイドラインの利用

 コンテンツプロバイダに対して発信者情報開示請求を行う場合には、裁判上の手続(仮処分・訴訟)を用いることが原則ですが、ガイドラインに則ってコンテンツプロバイダに対して直接請求することにより、プロバイダが任意で発信者情報等を開示してくれる場合があります。

 ガイドラインに則った請求は、侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書をプロバイダに提出することで行いますが、現時点では、爆サイ.comなどの一部のサイトを除くコンテンツプロバイダの多くは、ガイドラインに基づいた発信者情報の任意開示を行っていないのが現状です。

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