名ばかり管理職
平成25年3月14日号掲載
平成29年8月6日追記
私は外食チェーン店で店長(30代女性)をしています。経費節減で従業員が足らず、私は毎日のように深夜まで働いています。
しかし会社は、管理職だからという理由で残業代を支払ってくれません。会社の言い分は正しいのでしょうか。
労働基準法は、1週間に40日、1日に8時間を超えて労働させてはならないと規定しています。これを超えて労働をすれば、時間外労働(法定残業)となります。
時間外労働をすれば、その労働時間に応じた通常の賃金が支払われるのはもちろんですが、これに加えて割増賃金が支払われなくてはなりません。時間外労働の割増賃金は、通常の賃金の25%以上とされています。
なお、深夜労働(午後10時から午前5時までの間の労働)についても、同様に25%以上の割増賃金を支払う必要がありますが、時間外労働と深夜労働が重なる場合、重なる部分についての割増率は50%以上となります。
しかし、上に述べたような労働時間に関する労働基準法の規定は、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)については、その適用が除外されています。
したがって、「管理監督者」が1日8時間を超えて労働をしても残業代を請求できません。
「管理監督者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあるものをいいます。労働基準法が「管理監督者」について適用を除外しているのは、「管理監督者」が企業経営上の必要から、最低基準としての労働時間等の規制の枠を超えてでも活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任が付与されているからです。
したがって、「管理監督者」であるかどうかは、資格及び職位の名称にとらわれることなく、実態に即して総合的に判断され、一般的に「管理職」と呼ばれる地位に立つ労働者全般が直ちに「管理監督者」に該当するわけではありません。
「管理監督者」に該当するかどうかは、一般的に次の基準により判断されています。
(1)人事権や経営方針の決定など企業経営に関する重要事項について経営者と同等の職務内容、権限や責任があるか
(2)職務内容、権限及び責任に照らし、現実の勤務態様が労働時間等の規制になじまないようなものか、労働時間に関する管理をどのように受けているか(出退勤の時間を自由に自分で決められるか等)
(3)給与などの待遇において、職務内容、権限や責任に見合った優遇がなされているか
したがって、あなたが、「店長」であっても、それが名ばかりで、経営者と同等の権限も出退勤時間の自由もなく、特別優遇もされていないのであれば、「管理監督者」には該当しないので、残業代を会社に請求することができます。
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