少年院送致の基準について

 少年審判において問題となるのは、非行を犯した少年の「非行事実」と「要保護性」です。これにより少年の不処分、保護観察、少年院送致等の処分の判断が行われます。

 少年院とは、家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、その健全な育成を図ることを目的として、矯正教育や社会復帰支援等を行う施設です。

 少年院送致とは、要するに少年院に入所させ、非行を犯した少年の更生を図ることです。

 また、少年刑務所というものもありますが、これは犯罪を犯した16歳以上20歳未満の受刑者に対して、刑を執行する施設です。少年院は主に教育を行う施設ですが、少年刑務所は刑を執行する施設であり、両者は性格を異にします。

 少年審判における終局処分の種類や少年院送致が選択される可能性が高いケースなどについてまとめました。

少年審判における終局処分の種類

 非行を犯した少年に対しては、非行の内容が調査され、少年審判が行われることがあります。少年審判では、少年に対する処遇について、不処分、保護観察、少年院送致等の判断が行われます。

 また、刑事処分が相当と認められる事件等の一定の重大事件については、検察官送致とされる場合もあります。 少年法は、非行を犯した少年に対して、刑罰というペナルティではなく、性格の矯正や環境の調整等の保護・教育を施すことを目的としております。

 しかし、保護・教育目的であったとしても、長期間社会から隔絶される少年院送致は、当該少年に与える影響は大きく、少年やその保護者としてはできれば避けたいと考えていることが通常です。

 では、少年審判における処遇は、どのような基準で判断され、どのような場合に少年院送致が選択されるのでしょうか。

少年審判において問題となることは?

 少年審判において問題となるのは、当該少年の「非行事実」と「要保護性」です。

 少年審判で非行事実があって要保護性があると認められた場合は、保護観察、少年院送致等の保護処分が課せられます。

 一方、非行事実がないか要保護性が乏しいと判断された場合、不処分となることもあります。

保護観察か、少年院送致かの判断基準

 非行事実が認められる場合における少年の処遇については、「要保護性」の有無・程度により判断されます。

 要保護性とは、①再非行の危険性、②矯正可能性、③保護相当性などの要素により判断されますが、このうち最も重要な要素が①の「再非行の危険性」であり、少年審判における処遇判断は、この「再非行の危険性」がどの程度認められるかを中心に行われます。

 裁判官は、

  •  事件の態様・悪質性
  •  前歴(非行歴・補導歴等)の有無
  •  少年の境遇、経歴
  •  教育の程度
  •  不良化の経過・程度
  •  性格・行動
  •  心身の状況
  •  少年の家庭環境・保護者との関係
  •  交友関係
  •  反社会的勢力との関係
  •  少年の反省状況
  •  被害者への対応

など多様な要素を考慮し、当該少年について、将来再非行に至る可能性がどの程度あるかを判断します。

 このため、強盗や放火といった重大な非行を行った少年であっても保護観察とされる場合がある一方で、深夜徘徊・喫煙・飲酒や万引きといった比較的軽微な非行のケースであっても少年の常習性、抱える問題の根深さ、家庭環境の劣悪さなどから、再非行の危険性が高いと判断されて少年院送致が選択される場合もあります。

少年院送致が選択される可能性が高いケース

 どのようなケースであれば少年院送致になるのか、あるいは、どのようなケースであれば保護観察に留まるのかを一言で説明するのは困難ですが、以下のような事情が複数認められる場合、少年院送致が選択される可能性が高いといえます。

  •  ・保護観察中の再非行であるなど、少年が非行を繰り返している場合
  •  ・親に見放されているなど、少年の家庭環境が劣悪である場合
  •  ・少年が就学せず、定職にもついていない場合
  •  ・少年が暴力団や暴走族等の反社会的勢力に所属している場合

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以下の事例もご参照ください。

少年院送致相当であったが,付添人活動により保護観察処分となった事例 

非行少年を現在の環境から引き離すことで暴走族から抜けさせることができた事例 

窃盗事件を起こした少年の観護措置取消が認められた事例 

暴力事件で逮捕された少年を正常な方向に導いた事例 

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